突然だが、私は山登りが好きだ。勿論マラソンも大好きだが、 “マラソン” と “山登り” はあくまでも別カテゴリーで「マラソンはマラソン、それぞれ割り切って楽しむもの」と、勝手に思い込んでいた。そんな固定概念からか、舗装路ではなく山岳の登山道を走るトレランに興味はあったものの、これまで実際に走ることはなかった。
しかしランナーたるもの、走らずにはいられない! トレラン経験者である学生時代の後輩Sくんに相談したところ、『今週末トレランのトレーニングに行くので一緒に行きますか?』と快くOKしてくれた。そこで今回はロード専門ランナーが “トレラン” トレーニングに初参加して感じた「マラソンとの違い」を紹介していきます!
スタート地点はココ!
【スタート】AM9時:丹沢湖-玄倉
今回は神奈川県の丹沢山地に行ってきました。小田急小田原線「新松田駅」から西丹沢ビジターセンター行きの富士急湘南バスに乗ること20~30分、丹沢湖が目の前に広がる「玄倉」がスタート地点。出発前には登山コースを見ながら今日のトレランルートをみんなで確認、玄倉 → 石棚山 → 檜洞丸 → 西丹沢ビジターセンターの約20キロのコースを走ることにしました! 秘境と呼ばれる「ユーシンブルー」で有名なユーシン渓谷へのルートは、斜面崩落の影響で現在は完全通行止めとなっていました。残念…
みんなでルートを確認します!
スタート直後は舗装されたコースを軽く流しながら徐々に山の中へと進んで行きます。冬ならではの静けさの中、自然の中を午前中からランニングするのはとても心地いい。「森を走っている」という感覚が新鮮で自然と足取りも軽くなります!!
道はロードでも森の中は新鮮で足取りも軽くなります
「走る」というより「登る」、そもそも“トレラン”って歩いてもOK!
いよいよ本格的な登山道ルートに突入すると、さっそく石階段が現れます。そのあとも結構な傾斜が続くため、しばらくは歩きながら一歩一歩確実に登っていきます。スタートからゴールまで走り続けるマラソンとは違い、「呼吸が苦しい!息が切れる!」という状態にはなりにくいですが、斜面を進め続ける分、ふくらはぎや太ももへの疲労が溜まりやすく感じます。
いよいよ登山道に突入!一歩一歩進みます!
ちなみにトレランでは水分や補給食は自分で持ち、走りながら補給するのが基本的なスタイル。リュックで走ることに多少違和感はあったものの、「自分はいつもどの位水分補給をするのか」など改めて考える機会にもなりました。
リュックで走る違和感は、そのうち気にならなくなりました
登山道は続きます
PM1時:石棚山~檜洞丸
今回のコースで一番キツかったのが、石棚山の急登。ここが一番容赦ない、進んでも、進んでも終わらない急登… ゴツゴツした岩場となり名前通り “石が棚” になっており、もはやトレランではなくガッツリ登山となっていました。笑
なかなか気合いが必要な区間でしたが「これもいい経験!」と自分に言い聞かせながら石棚山を抜けると、丹沢湖が眼下に広がり丹沢山地の雄大な景色を一望できます。檜洞丸の頂上付近ではミツバツツジの枝に霜が付いた「ミニ樹氷」ができていました! とても幻想的ですが、写真に夢中になり過ぎるとあっという間に体が冷えるので要注意。
なんと山頂の気温は-3℃…寒い、寒すぎる。
容赦なく続く急登を終え一息つくと・・・
雄大な丹沢山地を一望できます!
12月上旬でも頂上付近はマイナス3℃!!
よくよく見るとミニ樹氷ができています
青ヶ岳山荘のおばちゃんが作るカレーは絶品!
檜洞丸頂上から1分半の場所にある青ヶ岳山荘へ逃げ込むかのように猛ダッシュ! 趣がある室内は掘りごたつや囲炉裏もあり、天国のような居心地の良さ。2010年からおばちゃんが一人で小屋番をしているそうで、とても親切で優しい方でした。看板メニューのカレーは、なんとおばちゃんの手作り! 山で食べる自家製カレーは最高の一言! 暖かいお茶も美味しいよ~。でも、こたつでヌクヌクするのはほどほどにして、ゴール地点の西丹沢ビジターセンターに向けて下山開始です!
檜洞丸頂上(標高1600m)
頂上まで来ると青ヶ岳山荘はすぐそこ!
寒さから逃げるようにイン!!
1番の楽しみはこの絶品のカレー
【ゴール】PM3時:西丹沢ビジターセンター
檜洞丸頂上から西丹沢ビジターセンターまでは約5キロ、下りはとてもスムーズですが油断は禁物。岩場や砂利地はとても滑りやすく、下りの勢いに任せてしまうと100%転倒します。コツとしては歩幅を狭めて足数を増やし、細かく刻みながら進んでいくことを意識すると良いみたいです。足場に意識が集中するのは、普段のマラソンではあまり無い意識だなと実感しました。麓に近づくにつれてなだらかな道になると、ほどよくスピードに乗ったままランニングができて気持ち良いです! 下りは約2時間30分ほどでゴールの西丹沢ビジターセンターに到着。9時にスタートしてからゆっくりマッタリと山を満喫し、全体では大体6時間のコースとなりました!
ゴールまで一気に下ります
看板の一言にも癒されます
登山もトレランも「熊鈴」があると安心?!
帰ってきました~
All Photo by Dragon
再び富士急湘南バスに乗り「新松田駅」まで戻ることができます。寒い日には帰りは小田急小田原線「鶴巻温泉」で温泉に入るのもアリですね!夏の暑いトレーニングでも汗を流せます。
新宿から約1時間30分で行ける神奈川県の「丹沢山地」。ランナーの方もたまには気分を変えてトレランしてみると、新たな発見に出会うことができるかもしれませんよ。自然環境や登山者に配慮してトレランを楽しみましょう!
千葉県出身、ユニクロ店員を経て映画の宣伝マンになる。東京マラソン当選をキッカケにマラソンをはじめる。趣味は一人旅、空と海のダイビング。2019年4月から世界一周の旅に出発している。Instagram:dragon_kun01