(スイス)マッターホルン近くまでハイキングのつもりが…

世界一周をする中で必ず訪れようと決めていた国がスイスだ。目的は 「アルプスの少女ハイジ」 の世界が広がる本場のアルプス山脈の地を歩くこと、そして標高4,478m のマッターホルンを自分の目で目撃するためだ。今回は5月中旬にスイス南部の街、ツェルマットを訪れた際にアルプス山脈を登ったハイキングの模様をお届けしたい。しかし、「ハイキング」 と言えば何だか楽しそうだが、実際はとても過酷なモノだった…。

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美しい景色とは裏腹の過酷なハイキングとは…?

 

マッターホルン登山の拠点となる街、ツェルマット

ツェルマットでは大気汚染を防ぐ環境保護のため電気自動車が使われている。小さくて可愛らしい車体だ。建ち並ぶ建物は木造建築の家がズラリと並んでいるが、ほとんどがホテルやドミトリーなどの宿泊施設。わたしは宿にチェックインすると、これまで40カ国の山を登ってきた南アフリカ人の女性ハイカーと仲良くなった。昨日は標高2,583m のシュヴァルツゼー(Schwarzsee)まで登ったらしい。明日は標高2,939m のトロッケナー シュテク(Trockener Steg)に行くというから驚きだ。2,000m 辺りは雪がすごく積もっているのに、何故ケーブルカーで行かないのか聞いてみると、「ケーブルカーで行くのは簡単だけど、私は自分で登った場所から景色を楽しむことを大切にしているの。それにケーブルカーは料金が高いしね。笑」 と、恐らくこんなことを言っていたのだと思う。
正直わたしはケーブルカーで展望台に行く予定だったが、色々話を聞いて行るうちに明日はシュヴァルツゼーまで自分で登ってみることにした!
彼女から 「上の方は雪が結構あって滑りやすいから気をつけてね!」 とアドバイスを貰い、支度を整えてその日は早めに就寝した。

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かわいらしい車体の電気自動車たち

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木造建築の宿泊施設が立ち並んでいる

 

マッターホルン近くのシュヴァルツゼーまでハイキング

7:10

ツェルマットの宿を出発し、まずはシュヴァルツゼーの麓にある街フーリ(Furi)まで徒歩で1時間の移動。霧がかかっていた山もフーリに到着する頃には晴れてきた! 山の上の方にはマッターホルンも見える! 目標であるシュヴァルツゼーも把握し、片道1時間40分のハイキングコース28番に入る。

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フーリにて。朝の霧も晴れ青空が広がる

 

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コースを確認し、いざスタート!

 

 

9:50

 

登っているのは自分だけ、鳥の鳴き声が心地よい。しばらく進んでいくと要所要所に雪が残っているが、履いてきたトレランシューズもギリギリ持ち堪えていた。しかし完全に雪で覆われ、コースが分からなくなる。それでも前日の登山者の足跡らしきものを見つけて、その道を辿りながら進んでいく・・・。
が、流石にもう無理! 遂に辺り一面が雪に覆われ、諦めて引き返そうかと思ったら後ろから家族が登ってきた! 先頭にいるお父さんが的確に山を読みながら、雪が浅い箇所を進んでいる。流石に素人一人で登るのは限界があり、ちゃっかり後ろから付いて行くことにした。

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鳥の声に耳を傾け順調にハイキングスタート

 

完全に雪道に!足跡を頼りに進むも一人では限界を感じた

 

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後戻りはせず、下から来た家族にちゃっかりついていくことに

 

11:00

ケーブルカー駅Aroleid(標高2324m )に到着! 距離的にはあと1/3位残ってる…
休憩後、先頭のお父さんが、登れる場所を見つけて、みんなが付いて行く。膝まで埋まる雪にも関わらずその家族はキャッキャしながら登っている、きっと経験豊富なハイカー一家なのだろう。
わたしは登ってくることで精一杯だったが、後ろを振り返ると素晴らしい景色が広がっていた。綺麗な花にも癒された。

ケーブルカー駅Aroleidに到着

 

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はしゃぎながら登るハイカー一家

 

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力強く咲く小さな花にも癒され、励まされる

 

霧が出てくる中、腰まで浸かるゴリゴリの雪道を掻き分けて進んで行く。この辺りから「これはハイキングではない」 と確信した。トレランシューズはビチョビチョです、通気性が仇となっております。「あれ? ハイキングって何だっけ?」 と思っていると、雪掻きされた道路を発見! 3m近く雪が積もっている、凄い迫力だ。そして目的地とマッターホルンが見えてきたー!

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ハイキングってなんだっけ?と思いながら、雪の壁を横目に登り進む!

 

シュヴァルツゼー山頂(2,583m)に到着!

12:15

シュヴァルツゼー山頂(2,583m)に到着!
お父さんとその家族とガッチリ握手。私1人ではここまで来られませんでした、ありがとうございます!
約2時間20分かけて登って来た場所から見た景色は、壮大で素晴らしく、美しいアルプス山脈が拡がっていた。何よりもとても達成感があった!
昨日の女性ハイカーが言っていた、「私はケーブルカーではなく、自分で登った場所からマッターホルンを見たい」 と言っていた意味がとても理解出来た。お昼ご飯を食べながらマッターホルンの霧が晴れるタイミングを待つ。

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山頂に到着!

 

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自分で登った場所からマッターホルンを見る…!!!

 

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壮大で美しいアルプス山脈が広がる

 

13:30

家族たちは下山の準備を始めている。帰りも一緒に降りるか誘われたが、一人で下山出来るか試めしてみたいと思い、家族を見送った。自分一人だけとなり、もう少しだけマッターホルンとの時間を楽しむ。
もちろん、周りの景色は別世界。スイス最高峰のモンテローザ(4,634m)など4,000m を越える山に囲まれる白と青の世界。ただただ美しい。
結構粘って待ってみたが、これ以上霧が晴れるのは難しいようだった。

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マッターホルンの姿はこれが限界だったが、ただただ美しい。

 

13:45

最後に記念撮影し、下山開始。お父さんには格好つけてみたものの、やはり自分でルートを見つけるのは無理だった。家族が進んでいった足跡を頼りに進んでいく…と、遠くに家族を発見!! よかった、この道で合っていた! 偶然を装いシレッと合流すると、下は雪が積もってるらしく引き返すことに。その後も色々道を探すが中々見つからず、自分は家族と別れ登りと同じルートを通りケーブルカーの所まで降りてみた。何となく一人でどこまで出来るのか試してみたかった。
遠くに別ルートで降りる家族の姿が見える、もはや滑り台のように滑って降りている…。

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下山前に記念撮影

 

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ひとり下山するもすぐに不安に…

 

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ハイカー一家の足跡を辿って、家族に合流!

 

15:00

結局同じタイミングでAroleidに到着し、一緒に下山する。ようやく雪道が終わり、ハイキングルートに戻ってきた! 今朝来た所なのに遥か昔のように感じる…。途中、野生の動物にも出会いました、恐らく鹿の親子でした。
家族は休憩していくということで、ここでお別れです。あなた方のお陰で無事に下山することが出来ました、ありがとうございました!!

お世話になった家族ともそろそろお別れ

 

15:40

ハイキングコースの入口に戻ってきたー! 気が付けば往復約6時間のハイキングでした。
初めての本格的なハイキングがまさかの雪山。最初は余裕だろうと思っていたが、実際は甘くなかった。雪山は素人一人で登る場所では無いことをヒシヒシと感じたが、今までに無かった新しい経験ができた。何か自分の中で1つステップアップ出来たような気がした。
フーリからツェルマットまでの帰り道にマッターホルンが綺麗が見えた。絶景あるあるの1つ、「いくら写真を撮っても合成の様にしか見えない」はまさにこれだ。笑
やっぱり別格の存在感、数ある名峰の中でも一番美しい形をしていると私は思う。
「生で見ることが出来て良かった〜!」

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下山してきた足跡を見返すと感慨深い

 

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フーリのケーブルカー

 

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帰り道には合成のようなマッターホルンを見ることができた

 

17:40

宿に戻ると女性ハイカーは既にチェックアウトしていた。トロッケナー シュテクの雪は凄く積もっていたが、彼女は無事に登頂出来たのだろうか。ハイキングトークが出来なかったのが、少し心残りだった。

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過酷なハイキングだったが、達成感と美しい景色が見られ、すがすがしい気分で宿に戻る。

 

死ぬまでに見てほしい、感動のマッターホルン

初心者にとって、5月のハイキングは少し時期が早い感じがしたが、雪に囲まれた白銀に聳え立つマッターホルンは間違いなく感動モノ。ツェルマットの街からでもマッターホルンは見ることが出来るので、死ぬまでに是非一度は見に行ってはどうだろうか。

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ぜひ!あなたも!!

 

 

千葉県出身、ユニクロ店員を経て映画の宣伝マンになる。東京マラソン当選をキッカケにマラソンをはじめる。趣味は一人旅、空と海のダイビング。20194月から世界一周の旅に出発している。Instagram:dragon_kun01

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